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【現代転生パロ】

二人が出会う前。
ハルベルトがエンリルの会社に入った経緯とか。
長いので分けます。

※BL要素はあんまり無いけどBL注意





【はじまりのはじまり】

休日はゆったりと過ごすに限る。
寝転がり先日買った料理雑誌を眺めながらハルベルトはそう実感した。
心地良い春の陽気は程良く眠気を誘い、半ばまどろみながら雑誌のページを捲っていた。

そんな心安らかな時間を邪魔する電話の音が鳴り響く。
携帯を手に取り、ディスプレイに表示された名前を見た途端ハルベルトは顔を顰めた。
しかし無視をするわけにもいかず、しぶしぶ通話に切り替える。

「……はい」
「ハルベルト、私だ」

聞きなれた低く機嫌の悪そうな声の持ち主。
名乗らなくても分かる、年の離れた兄のものだった。
可愛い甥や姪の声ならまだしも折角の休日に聞きたい声ではないのだが。

「何だよ、兄貴」
「…………」

電話を掛けてきたのに黙ったままの兄に訝しむ。
いつもは遊び呆けてないで家にふさわしい行いをしろだの料理人なるなどはふざけたことだの
小うるさい説教を一方的に捲し立てて時間が潰れてしまうのだが今日は違った。
用件を聞いてもなかなか答えようとしない。
苛立ちながら急かすとようやく兄は重い口を開いた。

「お前は大学院に行くのか?」
「いや、就職する。料理の道に進むにしてもまずは金が必要だし、ある程度貯金できたら……」

そう告げた途端、受話器越しに溜息が聞こえた。
相も変わらず自分の意を曲げない弟に失望したのだろうか。
だがこちらにしてみれば余計なお節介だ。
自分の道は自分で決めると昔から決めている。
溜息の後に続いた沈黙はハルベルトの機嫌をさらに降下させた。

「おい、俺の人生は俺が決め……」
「お前を是非とも迎え入れたいという会社があるんだが」
「……は?」

つまり就職先を斡旋してくれるということなのだろうか。
ありがたい話ではあるが、しかしその言い方が気になった。
詳しく聞いてみるとどうやら「知り合いの就活生を誘ってくれ」ではなく
「お前の弟のハルベルトを紹介してくれ」と言われたらしい。
そんな馬鹿な話があるだろうか。

「なんだそりゃ。一体どういうことだ?」
「私も訳が分からなくて混乱しているんだ」

ますます雲行きが怪しくなっていた。会社の名前も今まで聞いたことが無い。
兄の紹介とはいえそんなあやふやなところに務めるなどもってのほかだ。

「おいおい、それってやばい所なんじゃ……」
「そんなわけあるか」
「だってその会社の名前なんて聞いたこと……」
「……では『アヴェルス財閥』と言えば分かるか?」

「アヴェルス財閥」 誰もが知る有名な財閥企業、そして兄が務めている会社だ。
この国で知らないものはいないと言い切ることができる、それほどの大企業だ。

「そりゃ知ってるさ。兄貴がいるところだろ」
「そうだ……そして、先ほどの会社はアヴェルス財閥のグループ会社だ」
「……そういうことか」

それなら納得だ。
大企業の傘下といってもあまり身近でない軍事関連ならば知らなくても不思議はない。
しかし、自分が知る限り兄はコネがあるほどの重役では無かったはずだ。
自分の疑問を見透かしたかの様に電話口の声が説明を始める。

「何でも軍事レーションの開発部署を作るから栄養学や調理を学んだ人材が必要らしい」
「でも、何で俺なんだよ」
「向こうの社長がいたくお前を気に入っていてな」

……それは話がおかしい。
名も知らなかった会社の社長と面識などあるはずが無いのに。
一体どうやって自分を気に言ったのだろうか。

「とにかく会って来い。来週の金曜日だからな」
「おいおい、俺の意思は無視かよ」
「……会わなければ、私の首が飛ぶ」
「…………」

それだけ告げられて電話は途切れた。何だかんだで兄も苦労しているようだ。

「金曜日、か……」

カレンダーに目を向ける。金曜日のところは空欄のままだ。
兄の指示通りになるのは気に食わないが、就職が楽になると思えば悪くはない。
レーション開発ともなれば自分の専攻も活かせるだろう。

「まあ、行くだけ行ってみるか」

その社長の顔も拝んでみたいという好奇心も大きかった。
入社するかどうかなんて後で考えれば良い。
そう思いながら読んでいた本を閉じた。




続くよ。





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